クロスレビュー

■ スポーン 1~3巻 (メディアワークス)

1996年,メディアワークス.日本で先行する小学館プロダクションのMarvel Comics翻訳の成功を受けて刊行されたメディアワークスの翻訳アメコミシリーズ第1段.原作者の著作権を主張するクリエイター達によって起こされた新興のImage Comics社を中心に出版された.スポーンはSpider-manをMarvelで手がけたTodd McFarlaneによる完全オリジナル作品.ストーリーとアートを同時に手がけるばかりか,フィギュア業界にも自ら会社を興して参入.その精巧さとラインナップの豊富さから米国のみならず日本においても一大ムーブメントを巻き起こした.更に,アニメーション,映画,ゲームとマルチメディア展開を広げ,アメコミ業界にスポーン旋風を巻き起こしたことは記憶に新しい.この日本語版スポーンはそれらムーブメントの火付け役の役割も担っていたといえるだろう.おそらく,X-MENにならんで日本人に最もよく読まれたアメリカン・コミックの一つであろう.

吉田司郎
3巻のみアラン・ムーア原作が読めるので3点。1.2巻は2点。
吉田司郎

コミック&トイの両方で一時代を築いたスポーンです。映画でその栄華は終わりましたが……(笑)良かった点は無限なパワーを持っているが、その量に限りがあること。元は黒人で殺し屋だったというアンチ設定。特に人種差別や幼児虐待といった社会問題を扱っている点は、この作品に大きな意味をもたらせています。あと、サブキャラで、3人のニュースキャスターが出てきて、それぞれ、社会派、ゴシップ、右よりと、読者に偏った価値観を持たせない手法は新しい試みかと。悪い点はトッドの絵が日本人には不向きな気がするのと無理にヒーロー物にしている点がマイナス。社会派コミックで行けばもっと良かった気がするだけに残念。

田中。
9
田中。

まず最初に関西の某組員の方、私が間違っておりました。ここに全面的に発言の不備を認め陳謝したいと思います。で、かつては大嫌いだったトッド・マクファーレンの絵だったけど、何故か今回書評を書くにあたって読み直したら、かなりはまってしまった!きっと当時はジム・リーX-MENと比べて、こっちの絵はいやん、て思ったんだろう。当時の流行の描き方を踏まえながらも、人物描写などユニークで場面の描き方もおもしろい。ストーリーもまだ小出しにしてる感じが、破綻したような奇抜な展開になっていると思う。今になってようやくスポーンのおもしろさが解って、これからはまりそう・・・。メディアワークスの装丁や各コーナーはやっぱ小プロと比べると見劣りしてしまうので、マイナス1。

Lee
7
Lee

アメリカンコミックスでは珍しく(笑)最初からフォロー出来る作品ですので、「こいつ誰?」的な疑問などが少なく(多少のクロスオーバーはあり)、ある程度楽に読めると思います。日本漫画に影響された方の作品なので、アメコミにしては多少台詞も少なめです。ただし、画風に少々癖があるので、好き嫌いがわかれるところ。1〜3巻目までは、スポーン誕生と、バックボーンや世界感、そして主な登場人物紹介と、無難なストーリー展開となっているかと思いきや、今までのアメコミにはないバイオレンスさやドロドロした中身に目を奪われる事でしょう。でも、本当のスポーンの魅力が表われてくるのは4巻以降かも(笑)。

えむはし軍曹
7
えむはし軍曹

トッド・マクファーレンの細い線は嫌いですが,さすがに渾身のオリジナル作品とあって,なかなか面白いです.まず古典的アメコミに不可欠なお約束要素をふんだんに盛り込んでいること.サム&トゥイッチなどのわき役やバイオレーターなどの魅力的な敵役などバランスよく配置されています.だからといって古くさくなく,残酷シーンや人種問題など難しいテーマを扱っており,物語の濃厚さは特筆すべきです.しかし,自分が日本人だからでしょうか,残酷描写の必然性にも違和感を覚えるし,スポーンの執拗なまでのアウトローぶりにも無理を感じてしまいます.また,時折挿入されるニュース番組3人衆.お約束のつもりでしょうが面白くありません(笑).この後もしつこく登場しますがむしろ話の展開を分かりにくくしているだけ.そんなわけで微妙な7点にしておきます.

DIE
6
DIE

アメトイ界のバブルを作った張本人(笑)だが、いろんな意味でエポック・メイキングな作品かと。紙質が良いので見栄えも良いし、後発の日本語版に少なからず影響を与えたと思う。作品に関しては、スポーン自身、キャッチ−なデザインで無駄にはためいているマントやスパイクなどもカッコ良く、魅力的なキャラだと思う。2・3巻ではライバルと言えるようなキャラも続々登場しストーリーとしての魅力も生まれている。特に3巻では地獄と天国の対立等も描かれスポーンの縦軸に綺麗な横軸を添えている。ただ、非人間キャラのカッコ良さとは対極に人間キャラの画がブサイクで、作中で美男・美女として扱われても共感出来ないのでこの点数。

レビュアー5名.平均点:6.2(6.4) 標準偏差:2.5(2.1)

レビュー履歴