前知識が無いと、えらく滑稽に見えるシルバーサーファーですが、このエピソードを見てからは「かっこえぇ……。」と誰もが思うようになることうけあい。レビューのため読み直してみたけど、これMARVEL版「幼年期の終わり」だね。全知全能（に見える）ギャラクタス。強大な力を持つシルバーサーファー。無力なコルトン。この三者の関係が微妙につながってるのがいい。ラスト、一番真実がわかってなかった、コルトンが一番真実を悟るというのが感動的。シルバーサーファーといえば、ジャック・カービーが一番らしいけどメビウスもいいぞ（笑）とりあえずエレナたん萌え。

読んでいてホントにレベルの高い作品だなぁとは思えるけれど。自分は最後まで作品自体の主旨が気に入らなかった。ギャラクタスとそれを利用して権力を手にしようという落ち目のテレビ伝道師。それと対になるような存在のシルバーサーファーと伝道師の妹ですか。そして、ギャラクタスの存在とかに一喜一憂する“愚かな人類”という構図が猛烈に一神教的思想に裏打ちされていて何ともいえない不快感が最後までつきまとっていた。簡単に言えば「キリスト教徒だけで盛り上がってんじゃあねぇ！！」って感じ。いちいちのセリフの端々がキリスト教的な感じがして、日本人としてすごーく疎外感を感じたなぁ・・・。それが非常にアメリカっぽい＝アメコミっぽい感じもして、やっぱ嫌だなこいつらと思った。そういう思想がかったことをいちいち気にしない人は普通に楽しい作品だと思う。

デンゼル・ワシントン主演の某潜水艦映画で小競り合いのネタになってる作品だったりします(笑)。アート面での担当は巨匠メビウス、ストーリーは巨人スタン・リーというすばらしい作品なんですが、最近アメコミにハマったという方には、少々古臭く刺激のない内容に見えるかも。しかし、アート的にものすごくこだわりを持って描かれたモノであり、全編をとおしてまるで良質の詩を読んでいるかのような雰囲気にさせてくれる、そんな作品です。シルバーサーファーの説明は巻末の質問のコーナーでフォローできます。シルバーサーファーそのものの格好良さ自体はあまり伝わらないかもですね。(基本的に内面の方がかっこいいキャラですから)

非の打ち所なし．アート的にもストーリー的にも最高峰の仕事ですね．まず挙げるべきはメビウスのバランス感覚です．細かく描くところは描くが描きすぎない．省略と描き込みのバランスが秀逸で，空間の美しさがうまく表現できていると思います．まさに職人芸．自分ギャラクタスのデザインは大嫌いでして，あんな滑稽な造形はないと思っていたのですが，メビウスのギャラクタスには崇高さと荘厳ささえ感じます．そして，スタンですが，ややもすると説教じみたストーリーをコンパクトに美しくまとめています．いや，これはもしかすると，メビウスの絵による中和作用なのかもしれませんがね(笑).とにかく，メビウスの才気にただ魅了されるばかりという珠玉の逸品です．超オススメ！

「AKIRA」の大友克洋が尊敬する、フレンチコミックス界の巨匠メビウス作画によるシルバーサーファーというコトで評価が高い（らしい）作品。個人的には誌面のカラーの網点が眼に痛くて初読後、今回の書評の為に再読した以外読み返したコトがなかったが、独特なタッチのアートはハマる人はハマると思う。ストーリーも秀逸で、人智を超えた存在に対しての人類の対応と社会の道徳、宗教観等が作品の根底に流れており、盲信するコトの愚かさや、倫理を失うコトの恐ろしさなど考えさせられるコトが多い。スタン・リー、メビウスの仕事は極めて高度だが、眼が痛くなる網点でこの点数。